どっちが怖い?!◎どっちが怖い?!◎独身の頃、海外に2年ほど一人で住んでいたことがありました。 ふつうなら家族5~6人で住むような2階建てのテラスハウスに、一人で住んでいたなんて、今思うとすごい。今、家族5人で住んでいる団地より広かったんだぞ~!! ある日、仕事から帰ってくると、10棟ほど並んだテラスハウスの入り口の道路標識のポールがぐんにゃり曲がっている。なんだこりゃ、と思いつつそのまま帰宅しました。 その日の深夜、あり得ない物音で目が覚めました。 私が寝ているリビングの奥のキッチンで、だれかが歩き回っているのです。おなべのふたをあけたり、冷蔵庫をあけたりしめたり。足音もはっきりと、お皿をガチャガチャ物色する音までしっかりと。 私は凍り付きました。 「強盗だ!殺される!!」 このまま寝たふりを続けようか。でも、それも恐ろしすぎる。 玄関に走り、外に助けを求めようか。いや、それまでには相手に気づかれてしまうだろう。 今までの人生で、こんなに恐ろしい体験をしたことがないので、本当に体が動かないし、どうしたらいいのか、まるでわからない。 でも、結局人間って、いざとなると思い切った行動に出るもので、とうとう黙って殺されるぐらいなら、と目をつぶって起きあがり、電気をパッと付けました。 どうなったと思います? 台所には、誰もいなかったんです。 逃げた形跡はおろか、気配まできれいさっぱり消えていました。 いったい何が起こったのか。 キツネにつままれるってこのこと? それでもやっぱり怖くって、朝まで電気を付けたまま寝ました。 翌朝、同じテラスハウスの住人に聞きました。 昨日、ここで交通事故があり、バイクに乗った男の人が一人亡くなったそうです。あの、曲がったポールは、事故の仕業だったんです。 東南アジアって、霊が多いってよく言われるけれど。 こんなにはっきり、リアルな体験したのは人生でこれ一度きりです。 でも、結局何を思ったかっていうと、 「あ~…良かったぁ…」 だって、本物の強盗の方がよっぽど怖かったから。 続きを読む ジャンル別一覧
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